もうすぐお盆です。
お盆は仏教行事と思われている方が多いと思いますが、「インド仏教」、「日本古来の祖霊信仰」、「日本仏教」といった多様な文化・宗教観が融合した、オールスター感謝祭のような行事です。
はじめに、「お盆」という名前は「インド仏教」にルーツがあり、サンスクリット語の「ウランボン(私が通っていた大学ではウランバナと教わったような記憶があります)」が語源とされています。 ※諸説あります
これについて、時宗宗務所のHPに詳しい説明があったので、以下引用します。
お盆とは、正式には「孟蘭盆」といい、古代のインド語の1つであるサンスクリット語の「ウランボン」を音訳したものです。その意味は、「逆さ吊りのような苦しみ」を示しています。それは以下の説話に依っています。
お釈迦様の弟子の目連は、母親が死後の世界で餓鬼道に堕ちて飢えに苦しんでいる姿を見て、お釈迦様に母を救う方法の教えを請いました。その教えに従って、布施や供養を僧侶や多くの方々に施したところ、その功徳により母親は極楽浄土に行くことができました。それ以来、目連が多くの人に施しをした7月1 5日は先祖供養の大切な日になったと仏典に伝えられています。(『佛説盂蘭盆經』,SAT大正新脩大蔵経, 経集部,No.0685,竺法護釈より)
時宗宗務所|お盆あれこれ より引用
また、「迎え盆(ご先祖様が帰ってくる)」と「送り盆(ご先祖様をお送りする)」については、仏教渡来より前、日本古来の「祖霊信仰」にルーツがあります。 ※諸説あります
これも大学で教わったのが20数年前なので、うろ覚えですが・・・
人が亡くなると死者の魂は山に上って「荒魂(あらみたま)」となる。荒魂は年月とともに浄化され「和魂(にぎみたま)」となり、さらに時が過ぎると「祖霊」となり山の神と一体となる。
春になると山から山の神が降りてきて田の神となり、秋には再び山に戻る、という信仰です。
このように、「故人の魂が帰ってくる」という概念は、実は仏教が日本に伝わる前から続いてきたものです。
また、お盆と言えば「盆踊り」ですが、これは上記で解説した「祖霊信仰」と「日本仏教」の踊り念仏が融合したものです。 ※諸説あります
踊り念仏というと一遍上人(1239~1289)を思い浮かべる方が多いと思いますが、それより前の空也上人(903頃~972)が起源とされているようです。
ウィキペディアに詳しい説明があったので、以下引用します。
起源盆踊りはもともとは仏教の盂蘭盆会であるとする説[1]、歌垣の遺風とする説、原始信仰の儀式だったとする説など諸説あるが、文献に最初に登場するのは室町時代と言われる[3]。平安時代、空也上人によって始められた踊念仏が、民間習俗と習合して念仏踊りとなり[10]、盂蘭盆会の行事と結びつき、精霊を迎える、死者を供養するための行事として定着していった。死者の供養の意味合いを持っていた初期の盆踊りは、新盆を迎える家に人々が赴き、家の前で輪を作って踊り、家人は踊り手を御馳走でもてなした[10]。盆には死者が家に帰って来るという考え方から、頬被りをして人相を隠し、死者の生き返った姿に扮した人がその物語を演じたという[10]。
このようにお盆は、多様な文化・宗教観が、長い時間をかけて融合し生まれたため、「何のためにやるの?」というシンプルな問いに、一言で答えるのが難しいです。
冒頭に「お盆はオールスター感謝祭のよう」と書きました。私の個人的な考えとしては、あれこれ難しく考えず、「自分のスターに感謝し・ともに過ごし・もてなす日」と考えれば、受け入れやすいのかなと思います。
供養とも通じることですが、「この人のために何かしてあげたい」という心で、感謝することが大切です。